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2019年11月3日 by 佐々木文叔

偏差値通りに合格する子、しない子

 

 11月になり、受験シーズンが近づいてきました。6年生のご家庭では最後の追い込みに入っておられることでしょう。模試の偏差値に一喜一憂しておられるご家庭も多いのではないでしょうか。

 ところで、塾の中学ごとの偏差値は%で表示されています。東海中学で日能研であれば、偏差値59が80%合格の目安とされています。これはつまり、その偏差値を持つ20%の人が落ちている、ということでもあります。では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。また、そのような偏差値はどの程度重要なのでしょうか。

 

一、20%「も」落ちる理由

 塾の偏差値は、それぞれの受験生が目安とし、目標としているものです。これをクリアしているのに、なぜ20%もの不合格者が出るのか不思議ではありませんか?20%というと5人に1人、100人いれば20人です。ここでは、各塾が合格ラインの偏差値をどのように決めているかを説明した上で、20%もの不合格者が出る理由を考えてみます。

 

 (1)合格ラインの決め方

 塾は毎年度、入試の結果が出たあとで合格ラインの検討を行います。この場合、まず機械的に80%の受験生が合格しているラインを決めますが、それだけではありません。中学の側は、実は結構、塾の偏差値を気にしています。合格ラインが上がれば、それだけ優秀な生徒が集まり、大学合格実績が上がり、将来の受験生増加につながるからです。この点で、合格ラインは上がりやすく下がりにくいという特徴があります。

 ただし、塾の側で忖度できるのはせいぜい±1程度です。あからさまな操作はできませんし、行われてもいません。つまり、合格ラインの数値はかなり信頼できるということです。

 

 (2)20%の不合格者が出る理由

  a、年間の平均偏差値であること

塾が基準とする偏差値は年間の平均偏差値です。この場合、年頭に偏差値40で、年末に60になった受験生と、その逆の受験生の偏差値は同じ50になります。しかし、受験の際の実力は年末の偏差値です。ですから、年間の偏差値でラインをクリアしていても、その変化の様子によっては合格が期待できないということになります。

また、塾の側での説明は年間偏差値で行われます。合格した最低ラインの受験生の偏差値がときに10も低かったりする場合は、大抵これが原因です。

 

  b、志望校対策が不十分であること

20%の不合格者の半分くらいがこれが原因だと思います。現在の大手塾は、それぞれの特徴はあるものの、東海地区の志望校に特化したカリキュラムを組めていません。もちろん、日曜日の特別授業などで、東海・南山女子部・滝などの対策授業が行われてはいます。しかし、出題傾向に近い問題を月に4つ程度解くだけでは、準備としては全く不十分です。素材文の傾向、作問の傾向を踏まえて、十分な準備をしておく必要があるのですが、そこまでどの塾も手が回っていません。というよりも、受験生一人ひとりの状況を正確に把握して、必要な対策を個別に講じるのは労力的にも不可能です。

そのため、結局、この志望校対策は各ご家庭にほぼ丸投げされています。ただ、こちらも対策が難しいのが実情です。保護者の方は志望校以外の中学の入試問題をほとんど見たことがないですし、分野別に分類しやすい他の科目と違って、国語の場合には類似の問題を探すのが非常に難しいためです。また、素材文の傾向などは、市販されている5年程度ではあまりつかめず、もう少し長いスパンで入試問題を観察する必要があります。

実力が中学のラインを大きく超えていれば問題ありませんが、ギリギリのライン上にいる受験生の場合には、この志望校に対する対策が不十分で不合格になる可能性が高くなります。

 

  c、当日の精神状況に大きく左右されること

中学受験生は小学生です。難しい勉強をしていても、心も体もまだ子供です。ですから、大人がびっくりするくらい精神状態に左右されます。当日の体調はもちろんですが、入試会場で会った友人、最初に読み始めた文章が理解できるか、最初の問題に自信を持って解答できたか、など、周りにコントロールできない事情でペースを崩すと、立て直すのが困難になります。

しかも、この精神の未熟さが発現してしまうかどうかもバラつきがあります。いつも精神的に弱いのであればわかりやすいのですが、突然、平常心ではいられなくなるという受験生も多いです。

当日の精神状態については周りの大人の責任です。できるだけお子さんが実力を発揮できるよう、綿密なシミュレーションが必要です。また、普段の声掛けや、当日の雰囲気作りも大切です。その際には、入試会場で普段と同じようにふるまえる受験生が合格する、ということを忘れないでください。特別な雰囲気を出すことはマイナスに働くことのほうが多いです。

 

 

二、模試の偏差値をどの程度重視すべきか

 

 (1)偏差値への考え方

 まず、塾の偏差値については、それに振り回されるのではなく、それをしっかりと使いこなすことが大切です。合格ラインを超えたからと言って、それはとても不確かなものに過ぎません。合格ラインに届かないとしても、1や2の偏差値を過度に不安に捉えても意味がありません。

 合格ラインを超えていたら安心して受験に臨めるのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、まったくもってそのようなことはありません。なんの不安もなく受験会場に行けるのは、偏差値で+10程度上回っているような場合です。たとえば、東海志望(偏差値59)、平均偏差値65の受験生の場合、「万一失敗したらどうしよう?」とかえって不安になります。成績が優秀な受験生には、自分の弱点がより具体的に見えています。ラインを超えている受験生にも、それなりの悩みがあるのです。他にも、合格ラインを超えているということは、同じクラスの受験生が皆合格していくということです。「もし落ちたら、一人だけ取り残されてしまう」そんな不安もあるのです。

 つまり、成績優秀だから自分の志望校へなんの不安もなく向かえる受験生はいない、ということです。なぜなら、志望校の合格ラインを10も超えている受験生は、そこを第一志望とせずに、更に難しい中学を目指すことが多いからです。

 

 (2)偏差値に振り回される、とはどういうことなのか。

 今回は合格ラインを上回ったから大丈夫、とか、今回も合格ラインを下回ったから絶望、とか、そうなってしまう保護者の方は多いのですが、これが偏差値に振り回されている状態です。6年生の前半までであれば、そういった姿勢もさほど(あくまでもさほど)、悪影響を及ぼしません。しかし、どの受験生も不安を抱えている時期に、親までがそれに振り回されていては、進んで子供の足を引っ張っているようなものです。特に、受験まで3ヶ月となった11月以降は、子供の前でだけでも偏差値を気にしない素振りをしてください。できれば、心底、この時期の偏差値などどうでもいい、と思い込んでください。悪い結果が帰ってきたら、本番前に失敗できてよかった、良い結果が帰ってきたら、この勢いで入試に向かおう。その程度の認識で大丈夫です。

 

 (3)偏差値を使いこなす、とはどういうことなのか。

 偏差値とはお子さんの現在の到達点の目安です。それを把握する際に心がけていただきたいのは、点ではなく線で見るということです。そもそも、塾の合格ラインも年間を通した偏差値で考えられています。そのラインを瞬間的に超えても、あるいは下回っても、誤差のレベルです。3回分くらいの移動平均をとることが望ましいですが、それができなくても、長期のスパンで成績を見るようにしてください。目安は3ヶ月です。3ヶ月連続して下落傾向にあるなら、その科目に手を打つべきです。3ヶ月連続して上昇しているなら、その科目の課題は解決されたと考えて良いでしょう。

 合格ラインを目標にするのは結構ですが、親の側は直近3回分くらいの模試の結果を総合して、お子さんの現状と今後の予想を立てることのほうがはるかに重要です。合格ラインを上回ったからほめる、下回ったからしかる、というあり方が良くないことは、ここまでお読みいただいた方ならご理解されているはずです。あくまでも長期的な視点からお子さんの状態をできるだけ正確に把握する、というのが偏差値の正しい使いこなし方です。

 一方で、模試の復習はとても大切です。特に社会・理科・漢字・計算は苦手なところがはっきりと出ます。ですから、模試を受けた当日か、せめて次の日までには復習を行うようにしてください。

 つまり、模試を正しく使いこなすためには、それぞれの間違いについては短期的な視点で、偏差値については長期的な視点で位置づけていくことが重要だということです。

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愛知県在住
・大手中学受験塾国語科講師
・プロ家庭教師

2006年:名古屋大学法学部法律学科卒業
以後、派遣家庭教師・明倫ゼミナール国社講師を経て現職。

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