さて、国語の勉強法が分からない原因はよく分かりました。では、受験生(とその親)としては何をすればいいのでしょうか?
結論から言うと、良い先生、しかも一対一で話ができる家庭教師(つまりは私です)を利用してくださいという事になります。先ほどのページで述べたとおり、「この子に何が足りないか」という洞察と「受験に何が必要か」という知識が国語の勉強法の根幹を成しているのです。そして、その両方を持っている人間は限られます。
ただ、家庭教師を付けなくても出来る事はあります。ここではそれをご紹介します。
1.漢字をきっちり覚える
これは基本中の基本ですし、時間とお金を効率的に使うためにも自力で全てやるべきです。家庭教師を付けたとして、漢字の勉強を一緒にやることほどムダなことはありません。漢字は覚える以外に無いものですし、横からアドバイスする人間の存在と、漢字が覚えられる量とはおそらく反比例の関係になるでしょう。
また、入試情報の部分でも再三触れていますが、中学受験は最後は漢字です。配点比率を考えると、特に上位の中学では漢字で落としていては合格は覚束ないと言わざるを得ません。なお、漢字を覚えるときには「とめはねはらい」まできっちり覚えましょう。特に中学受験塾に通っている生徒の場合、「とめはねはらい」の注意は漢字テストなどで必ずされているはずです。南女などでは中学の先生が「入試でも見る」と公言されていますから、念入りに。
漢字を覚える場合には必ず文字の意味から考えるようにしましょう。たとえば、「異義」と「異議」はごんべんがあるかどうかの違いですが、意味が大きく異なります。これは「義」という文字に「意味」という意味があるためです。言葉を知り、文字の意味を知ることで語彙の世界に有機的なネットワークが出来上がります。
2.本を読む
実際には、本を読むだけで国語の成績が伸びるというのは幻想に過ぎないのですが、全くのムダというわけではありません。むしろ、活字に触れずに成長してきた生徒の場合には、まず本を読むことがスタートラインになります。読書は国語の成績を上げるための十分条件ではありませんが、必要条件であることは確かです。
では、どのような本を読めばいいのか?
子供に本を買い与えるときの注意点を下に挙げておきます。
・親の期待で買わない
→親はどうしても子供に期待してしまうものです。名作と言われる作品(難しすぎて挫折)や偉人の伝記(興味がなさすぎて挫折)はよくある失敗例です。
・本は子供に選ばせる(そして文句を言わずに買う)
→ゲームの攻略本を持ってきました・・・・それでもいいのです。
興味が無い本を読み始めて途中でやめてしまった上に本が嫌いになることを考えれば、1000円ちょっとムダにするだけでもう一度やり直せるのです。一応真面目にお話しておきますと、ゲームの攻略本でも読む意味はあります。文章を読解する時というのはその人が本当に真剣になった時です。命がかかっている場面で、「この中から誤っているものを2つ選びなさい」という問題の「誤っている」、「2つ」を見落とす人はいないでしょう。ゲームの攻略本も同じです。興味がある分野なら、子供は一生懸命読むはずです。
さらに言えば、ゲームの攻略本を書いている人はそれほど言葉にこだわっていないので、意味が二重に解釈出来る場合が出てきます。
そういう場合にも、他の本なら読み飛ばしてしまう部分を一生懸命読みとろうとすることは必ずその子の読解力を育みます。
・高い本を買う
→よく保護者の方から読書について相談を受けた時に勧める本に「二年間の休暇」があります。これは、十五少年漂流記の原作に当たるものなのですが、福音館書店から豪華本が出ています。その本が高いか安いかは小学校高学年の生徒なら見抜けます。「同じ内容だから安い十五少年漂流記」という発想ではなく、「この子にも良さが分かるはずだから高い二年間の休暇」という発想にしてください。そして、この二年間の休暇という作品は、最初の入口が「他の子とは違う高いものを買ってもらった」という不純な動機でも、読み進むうちに子供を虜にする魔力を持っています。
3.問題を解く
問題をただ解くだけではあまり意味はありません。国語の勉強をする時に一番注意をしなければいけないのは、問題を解いた後の答え合わせをする時です。この時に不完全でもいいので、誤答分析をやってみましょう。
誤答分析とは、なぜその問題を間違えたのか?その原因がどこにあるのかを考えてみることです。もちろんこれを一人でやるのは限界がありますし、時間も非常にかかってしまいます。そのため、まずは誤答分析をする数を決めましょう。1つの文章題について2つは誤答分析をする。といったルールを決めるとやりやすくなるでしょう。