~INDEX~
-初見の問題に動揺しない。
記述で部分点確保を-
例年にない形式の出題。基本的に難問。
表面的な知識ではなく深い理解を必要とする中学。
合格者平均は5割代。自分の力に合った対策を。
1.出題傾向
愛知淑徳中学では文章題を2題+漢字・語句の問題が出されます。文章題は論説文の比率が多少高く、過去5年間のうち4年は論説文が出題されています。これに組み合わせて物語文、随筆文が出題されています。出題に特徴的な点は、毎年過去に出されたことのない出題形式の問題がある点です。2008年はローマ字を書かせる問題が、2010年には四字熟語の誤字を答えさせる問題が、2011年には出来事を時系列に並べ替えさせる問題が、2013年は本文の内容に合うグラフを選択させる問題が出題されています。
この他に本文では2012年に詩を含んでいて受験生を緊張させました。この出題傾向はおそらく問題作成者が意図的に行っていると考えられます。1問は見たことのない形式の出題があるということを頭に入れて、動揺しないようにしましょう。ただし、2015年入試ではこのタイプの出題がありませんでした。問題作成担当者に変更があったか、あるいは一の問10が非常に難しいのでそのバランスを取ったのかのどちらかだと思われます。
慣用句、四字熟語についての出題は毎年位置も形式も変えて出題があります。また、本文中で使われている言葉の意味を問う問題は頻出です。
記述については、80字前後の記述がメインですが、10字以内での記述をさせた年度(2009年、2011年、2013年)もあります。これは全くの推測でしかないのですが、10字以内の記述を出題している年度はかなりの頻度で長文記述が50字前後(それ以外の年は80字前後)となっています。また、この形式は隔年で変わっています。何か意図があるのかもしれません。この法則が正しいのであれば、2014年は80字前後の記述となると考えられます。
なお、他の中学ではほぼ出題されると言って良い接続語補充の問題がほとんど出題されません。
2.合格者平均点
愛知淑徳中学の合格者平均点は標準的な難易度の年で6割代(2010年64.7、2012年62.1)です。難易度が明らかに下がった2011年は76.7まで跳ね上がっています。科目ごとのバラつきはほとんどありません。全教科で6割ちょっと取れれば合格はぐっと近づきます。なお、配点は国算が100なのに対し、理社は50です。国算で苦手科目があると合格が厳しくなります。
3.合格に必要な力
愛知淑徳中学の合格に必要な力は多岐に渡ります。過去問を通り一遍検討しただけでは出題パターンが多すぎて対策が追いつかなくなってしまいます。とにかく様々な分野から様々な形式で出題してくるのが淑徳です。では、全ての形式に対処できるようにしなければならないのか?というとそうでもありません。というのは、淑徳の出題傾向には隠れたパターンが感じられるからです。
1つは、言葉の意味について、深い理解を求めています。2010年の1-問1、問8、2013年の2-問8、問9はその典型です。単に言葉の意味を辞書的に知っているのではなく、実際に自分で使いこなせるような生徒を合格させたいという意思を感じます。普段の勉強の際に、どうしても慣用句などの勉強は1対1の知識だけを詰め込む「受験勉強」になりがちです。淑徳の言葉に対する出題からは、そうではなく1対多の有機的な言葉のつながりを意識出来ることを求めていると感じられます。
また、記述の問題ではかなり難しいことを聞かれることがありますが、その際には必ず手がかりが問題文に添えられています。これは、記述で聞いていることが受験生一般には難しすぎる(作者の作品名への込められた意図など)ことを理解した上で、国語の能力が十分にある生徒にはそこでアドバンテージを与え、そうでない生徒にも部分点を稼ぐことで差を最小限に留めさせてやろうということです。ですから、記述に関しては難しい=手がかりを使った部分点狙いの戦術が有効です。
最後に、本文の内容については、少し古い時代を舞台にした作品がよく出てきます。2013年の寺田寅彦の随筆は典型的ですが、それ以外にも、2012年の物語文(江戸末期)2010年の物語文(おそらく明治~戦前)2009年の物語文(戦前)が特徴的です。さらに、方言が出てくる作品の多用も淑徳の特徴です。「四万十川」などの方言色が濃く、かつ舞台が古いものを読んでみることは対策として有効です。
これらの特徴をしっかり把握して、それぞれに対応する勉強を積み重ねることで十分合格圏内に入れます。