私ができること
受験は生徒にとって一度きり、ご家庭にとっても数回のイベントですが、私にとっては毎年のことです。ですから、受験までにどのような段階を踏んでいくことが最も効率的か、また、その時期に何ができてなければならないかが分かっています。多くのご家庭のお手伝いをさせていただく中で、こういった、先を見据えた情報を提供できることは、とても大切なことだと感じています。
今、目の前にある課題について、すぐに手を打たなければならないのか、時間が解決するものなのか、お子様の成長を待つ必要があるのか、取り組むとすればどの時期までにやらなければならないのか、など、様々なことに頭を悩ませておいでのご家庭は非常に多いです。
また、日能研、名進研、浜学園、馬渕教室などの主要な塾の生徒さんと毎年関わってきた経験から、それぞれの塾の特色、どの時期にどのようなことを求めるのか、あるいは与えるのか、といったことも十分に承知しています。塾がお子様に合っていないのではないかという悩み、転塾の相談は3割程度のご家庭で直面されているように思います。
現状の正確な分析と、確度の高い今後の展開の予測を、必要に応じてご提案することは、長い入試までの時間を有効に活用することにつながります。
もう一つ重要なのは、どのような問題に取り組むか、という点です。私の授業では、塾のテキストはほとんど扱いません(ご家庭から要望があれば扱います)。お子様の現状と課題は千差万別であり、塾のテキストがそれに合致していることはほとんど無いためです。
扱う教材は主に首都圏、あるいは関西地区の入試過去問になります。特に首都圏には中学の数が多く、記述に特化した中学、選択問題を大量に出題する中学、女子校特有の問題が出題されやすい中学、タイトな制限時間でとにかく処理を求める中学、長文の物語文のみを出題する中学、随筆文・説明文のみを出題する中学など、様々な中学があります。
また、難易度としても偏差値30台の中学から60以上の難関校まで多くの選択肢があります。4年生の段階でも取り組めるレベルから、東海や南山女子部に必要な能力を育てるレベルまで、つまづいている分野に応じた入試問題を出題している中学があります。一方で、東海地区の入試問題を早い段階から扱ってしまうと、入試直前の段階で取り組める問題がなくなってしまうことがあります。
このような事態を避け、また、お子様に現在の段階で最も必要な問題を選定する上で、首都圏・関西の幅広い中学の出題傾向への深い理解が欠かせません。
なお、関西地区の中学については、近年、西大和、同志社、洛南、愛光、ラサールなど、東海地区からでも通学可能、あるいは寮があるために進学先として真剣に検討されるところが増えてきています。そのため、ご家庭のお考えを伺った上で、受験の可能性がない場合にのみ扱うこととしています。
中学受験の家庭教師には、単に目の前の国語の問題を解説できることや、東海地区の出題傾向について十分な知識があることは前提条件に過ぎず、最終的な入試の合格に向けて、①現状を分析し、②その後の展開を予測し、③必要な課題を設定し、④適宜修正を加えながら進路を修正する、という幅広い知識と経験が求められているのだと思います。