~INDEX~
-偏差値通りに合格するわけではないが
逆転できるのは5まで-
大手塾の模試の特徴と、その付き合い方。
1.大手の模試とその特徴
東海地区の受験生が通う塾の模試としては、①日能研の全国公開模試②名進研のプレ中③浜学園の公開模試④その他四谷大塚の模試があります。ここでは、①~③について解説します。
①は受験者数が1万人程度で全国の中学を対象としており、男女比はほぼ1:1です。②は東海地区の1000人程度を対象としており、男女比はこちらも1:1です。③は関西と東海地区を主な対象としており、男女比は2:1程度です。
出題の特徴は①②はほぼ同じで、漢字、語句、選択、抜き出し、記述をバランス良く取り混ぜています。③は公開模試では選択と抜き出しのみで、他に記述力模試がある上に、公開模試での語句の配点が大きいという特徴があります。これは、①が首都圏中堅校をメインターゲットにしており、③が関西難関校をターゲットにしていることから来る違いです。
頻度はどの塾も月1回となっており、日能研は外部会場での模試が他に比べて多い、という特徴があります。
配点は、①が国算150、社会100の傾斜配点、②は各100点満点で400点と、社理を50点に換算した300点満点の両方の点数を出す、③は社会を回避する3教科受験と4教科受験の両方の点数が出るようになっています。
2.採点方法、基準、精度
採点方法はどの塾も大差ありません。現在は受験生の解答用紙をスキャンしてそれを集約センターに送り、そこで一気に採点を行うようになっています。一部ではAI採点などと言っていますが、まだまだ無理な話です。漢字の採点基準がバラバラなのがその証拠です。
採点基準は、①日能研は以前と同じくきめ細やかに設定されており、疑問となる採点はほとんどありません。うまく作問者の意図通りに採点まで進められている印象です。②名進研も以前に比べると採点基準が比較的明確になってきた印象です。ただ、記述の採点基準については、過度にマニュアル通りになってしまっており、採点基準と同一内容の文章でも点数がもらえないことがあります。③浜学園の公開模試はそもそも選択と抜き出しなので採点基準が問題になることはなく、記述力模試の採点基準と講評は明確かつ理論的です。どうしてその要素が必要なのか、あるいはどうしてその要素が不要なのかをしっかりと説明しているので、浜学園の受験生は講評をしっかり読むことが望ましいです。
採点の精度については、①日能研は以前に比べて採点のミスが目立つようになっています。漢字の誤りを見逃す、抜き出しの字の誤りに気づかない、というようなことは、以前の日能研模試では考えられなかったのですが、今は一回の模試で一カ所くらいの頻度になってしまっています。②名進研③浜学園ではあまりこういったことは起きていません。
模試の信用度という意味での精度は、①日能研と③浜学園では問題の質が揃っていて信頼できるのに対して、②名進研では平均点のコントロールに失敗してしまうことがあります。解答不能問題があると、どうしても全体の点数の精度も下がってしまいます。
3.志望校の合格に対する信頼度
これは志望校をどこに置くかでかなり変わってきますので、東海中学、滝中学、南山中学女子部に絞って解説します。
まず、東海中学の場合、どこの模試もあまり当てになりません。①日能研②名進研の偏差値50台前半でも、他の科目の状況と戦略によっては逆転できる可能性があります。ただし、1年間を平均して偏差値50台の中盤程度は取っていてほしいところです。③浜学園は公開模試に記述がなく、記述力もしは母数が少なすぎて偏差値の変動が激しいので、数字として当てになりません。
次に滝中学の場合、①②はオーソドックスな出題であることもあり、一定の信頼が持てます。逆転は不可能ではないですが、それでもせいぜい5程度だと思ってください。私が指導する生徒でも、偏差値50代前半という受験生がそれなりにいますが、東海で逆転できても滝では通用しない、ということが多いです。偏差値通りに合格する中学という印象が強いです。③浜学園の模試は、滝中学に対しては出題傾向が違いすぎてほとんど当てになりません。難しめの語句の出題が多く、それによって偏差値が大きく変わってしまうためです。
南山中学女子部の場合、①はそれなりに信用できます。ただ、そもそもの合格者数が少ないため、偏差値を持っていても合格できない受験生が結構出ます。日能研のR4は受験の条件であって、合格の条件ではない、と思っておくといいと思います。②は、出題の仕方などはこの中学に合っているのですが、そもそもの受験者数が少なく、年による変動もあるため、①に比べると信用度が落ちます。③はターゲットにしている中学が違うため、あまり信用できるものではありませんが、関西難関校を狙っている受験生の中で上位にいられれば、合格の可能性はそれなりにある、というところです。
総じて、東海中学は偏差値で5以上足らなくても逆転の見込みが結構ある。滝中学は逆転できる幅が狭い。南山中学女子部は逆転どころか、偏差値を持っているのに不合格になる可能性が高い、という評価になります。
4.他塾の模試について
受けて下さい。特に6年生になったら、夏休みまでに一度は他塾の模試を受けてほしいです。異なる母集団、異なる環境でどの程度の実力が発揮できるのか、また、入試本番と同じく、周囲が知らない子だらけ、という状態は、早めに経験しておくにこしたことはありません。
ただし、塾を変わるのはやめた方が良いです。他塾の模試を受けると、なぜか高得点を取ることができる受験生がいます。これは、ビギナーズラックなのか、大数の法則(確率的に100人受ければ50人は上振れし、50人は下振れする。つまりは偶然)なのか分かりませんが、普段そこそこの結果しか残していない受験生が、たまたま受けた他塾の模試で良い結果をたたき出し、塾を移ろうか、となることがあります。
よく考えてみていただきたいのですが、その良い結果は、いま通っている塾で身につけた力によるものであるはずです。また、良い結果を出せた塾に通っていた受験生たちが持っていない力があったからこそ、その結果になっているはずです。いずれにしても塾を変わる根拠にはなりません。
塾の方も商売なので、外部受験生に対しては営業の電話をかけますが、今の塾に不満がない限りは、転塾する必要はありません。